会長挨拶

会長就任2年目にあたって ~第77回総会記念パーティ開会挨拶より~

 (一社)日本百貨店協会 会長 好本 達也(J.フロント リテイリング株式会社 取締役)

yoshimoto01.jpg
日本百貨店協会 活動スローガン
『人の思いをつなぐ場として、
さらなる進化に挑戦する』

【スローガンに込めた思い】
作り手の情熱。使い手の感動。贈る人の真心。贈られた人の感謝。
店舗を愛する従業員の奮闘。店舗を愛してくださるお客様の支え。
百貨店は流通業ですが、私たちが動かしてきたのはモノやコトだけでなく、その根っこにある人の思いでした。
時代が変わり、その接点がオフラインからオンラインに移っても長きに渡って思いを紡いできた私たちだから成し遂げられる進化のカタチがあるはずです。
「人の力で心をつなぐ」百貨店の本分を今、新たなステージに。



 最近の経済環境を振り返ってみますと、日本経済は、この2年ほど、大幅な賃上げや好調な株価などに支えられ、回復基調を保ってきましたが、ここにきて、米国のトランプ関税の影響により、世界的な景気後退や国内消費の冷え込みが懸念されるなど、一気に不確実性が高まってまいりました。
 百貨店売上につきましては、昨年1年を通して好調を維持していましたが、3月に入り、為替が円高に振れたため、これまで売上を牽引してきたラグジュアリーブランドなど高額品に一時期の勢いが見られなくなり、インバウンド消費もマイナスに転じることとなりました。
 今、百貨店を取り巻く環境は大きく転換し新たな局面を迎えたことから、当協会としても危機意識を強く持ち、会員店の経営を下支えできるよう取り組んでまいります。

 当協会における本年度の活動方針については、引き続き「人の思いをつなぐ場として、さらなる進化に挑戦する。」、これをスローガンとして、各種活動を進めてまいります。
 また事業計画ついては、実効性を高めるため、3つの強化事業を設定しております。
 強化事業の一つ目に掲げた「地方百貨店に関する事業」につきましては、今期から、「まちづくり・中心市街地活性化に関する勉強会」を立ち上げることとしました。
 問題意識や経営環境を同じくする百貨店が集うワーキンググループを組成し、経済産業省にも立ち会っていただきながら、地域の行政や経済団体などと一体となった「まちづくり・中心市街地活性化」を検討いたします。
 短期では本年度中、中期では3か年を目途に提言・要望をまとめ、関係先に働きかけることを計画しています。
 また地方百貨店の若手の方からは、「学びの場が欲しい」「仲間づくりの場が欲しい」と要望をいただきましたので、様々なテーマで教育活動や交流事業を実施いたします。
 特に、ファッション産業人材育成機構(IFI)のご協力により、百貨店協会オリジナルの教育プログラムとして、ファッションビジネスの基礎編、マーケティングの実践編、VMD編の3種類をご用意いたしました。
 強化事業の二つ目、インバウンド推進につきましては、新免税制度に確実に対処できるよう、会員店をサポートいたします。
 またインバウンド客の地方誘致に向けて、観光庁の公募事業に応募し、地域資源を活用した販路開拓や効果的な情報発信に取り組むことを予定しています。
 強化事業の最後は、百貨店におけるDX活用でございます。今期も引き続き、経済産業省やデジタル庁にサポートをいただき、百貨店の未来像に向けた研究事業など、テーマを絞り込んで、業態価値向上に向けた具体的な取り組みを推進いたします。
 また百貨店物流の効率化を目的に、クラウドを利用した納品代行事業の標準化にも取り組んでまいります。
 これらの強化事業については、予算と労力を重点的に配分し取り組みますが、実質的な成果に結び付けるためには、ある程度の時間も必要となりますので、中長期の視点を持って取り組みたいと考えております。

 商況は余談を許さない状況に変化しております。私たち百貨店が自らの強い意志を持って行動することは当然のことながら、コラボレーション会員様を始め、関係先の皆様との密接な連携が必要であります。
 改めて、これまでのご厚誼に感謝いたしますと共に、今後、一層のご支援をお願い申し上げます。
 皆様のご多幸と、各社のご発展を祈念いたしまして、ご挨拶とさせていただきます。
 今後ともよろしくお願い申し上げます。

以上